北山村の日常

【商品誕生秘話】いつも廃棄していたドロッとしたぽん酢が、現場で働く従業員の間で美味しいと話題に。”じゃばら”を丸ごと使用した「噂のどろぽん」はこうして生まれた。

遡ること6年前。
村内の加工場で働く従業員の間で長年密やかに「美味しい」と噂になっていたものがありました。

それは、じゃばらポン酢を作った時に残る
「濃ゆいどろっとしたもの」

正体は、ぽん酢で煮詰められ、ドロドロになったじゃばらの果皮です。

村内で作られているじゃばらぽん酢には、隠し味で果皮をペースト状にしたものを配合しているのですが、それが製造工程上どうしても少し残ってしまいます。

「美味しそうやなー」

昔から加工場で働く女性たちの間で言いつつも、清掃時には廃棄されていました。
ある時ぺろっと舐めてみたところ「やっぱり美味しいー!」と。

当時の事を、ご本人さん達に聞いてみました。

昔は特に気にしてなかったのですが、ある時「これって美味しそうじゃない?」という話になりました。たしか6年ほど前になると思います。

そうはいっても勝手に食べるのもマズいかなぁと思い、2年間くらいずっと我慢してたんですが、どうしても食べてみたくて。

当時の工場長に「食べてみても良い?」と直談判しました。

そしたら予想以上においしい。
それからぽん酢を作る時は、毎回タッパー持参でおうちに持って帰ってて。

「やった!今日はぽん酢の製造や!」って楽しみの一つになってました(笑)。

お鍋や湯豆腐、サンマなど焼き魚にのせたり、小腹が空いたらそのまま食べたりもしてました。

特におすすめの食べ方は、餃子のタネに混ぜること。

普通に餃子にのせて食べても美味しいですが、タネに入れるとさらに美味しくなりますよ。みなさんもぜひ試してみて下さい!!

加工場でも5名ほどの従業員さんが持ち帰っていたそうなのですが、特にお二人がその味にハマったようで。とにかく何にでも使っていたそうです。
ちなみに、1日の製造で出来上がるドロッとしたぽん酢は、タッパー僅か2個分だけ。廃棄していたものが実はほんの僅かしかとれない貴重なものでした。

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「めっちゃ美味いやんコレ」

営業チームだけでなく、社長も工場にそんなものがあるとはつゆ知らず。

数年後のある時、品質管理の担当者が聞きつけ、味見してみると「めっちゃうまいやんコレ」と。
社内のみんなにもお裾分け、試食してみたところ・・・、


うまい!私も欲しい!」という声が続出!

美味しさが社内に伝わり、商品化へ!!


グツグツ煮込まれ、ぽん酢を作った後に残るどろどろとしたペースト状の物体。
いつも廃棄していた余り物は、実は旨味が凝縮された至極の一品でした。

通常、柑橘の皮は苦く、えぐみもあるので廃棄されることが多いものですが、じゃばらの皮は栄養も豊富。皮ごと丸ごと使うのでいいことづくめです。
これまではマーマレードに使用したり、粉末化したりという使い方がほとんどでしたが、新たなじゃばらの使い方を発見することができました。

いざ!商品化に向けて。今から約2年前の秋の事です。

ちょうど2年前というと、現在のように商品開発の専門部署や担当者といった明確な切り分けがない時代。

開発担当者に任されたのはじゃばら歴22年、役場運営時代からじゃばら事業に携わり、人生の半分以上をじゃばらにささげる男、市村。

ちなみにこの直後に商品開発の部署が出来上がりました。

「まずまず美味しい。」概ね好評、が、気になる意見も多数

じゃぽんをベースに開発となりましたので、結構簡単に作れるんじゃないかと当初は思ってました。これまで何万本と数えきれないほどじゃぽんを作ってきましたし、もちろんレシピも熟知しています。

「どうせ作るならもっと美味しいものを」と思いつつも、まずは再現する事を考えながら3品試作しました。社内でも概ね好評でしたが、じゃぽんとは違い果汁だけなく果皮もたくさん使いますので、どうしても後味に強めの苦みやえぐさが出てしまいました。

社内アンケートでも、同様の回答が多く、簡単だと思っていた商品開発がここから大変でした。
使用されている調味料の配合量を増やしたり、煮詰める時間を長くしたり・・・。極端にバランスを崩してみたり。
それで少しは変わるかなぁと思いましたが、根本的な解決に至らず、時間だけが過ぎていく状況です。

四苦八苦の末、納得の美味しさを実現

じゃばらは、酸っぱさの後に残るじゃばら特有の「にがうま」な味わいがあります。
じゃばららしさを完全に除去するのではなく、「らしさを残しつつバランスをとる」

あれやこれやと試しつつ、とにかく色んな人に試作品を食べてもらいました。
ある時、正直誰が言ったか忘れてしまったのですが、みんなで会話している時に一つのヒントが

企業秘密になりますので、詳細はお伝え出来ませんが、下処理の段階である事をすることで一気に進みました。


ここからが早かった。

じゃばららしい程よい苦みと香りが抜けないよう、微調整の繰り返し。
社内だけでなく、家族や友人など、とにかく色んな人に食べてもらいました。

やっと社内での評価もクリアでき、次はイベントでのテスト販売。

大阪のイベントでは、どろぽんをタレとしてつけた「じゃばら餃子」を販売した所、思った以上の大盛況で、3日間で合計450食、全日完売!早い日はお昼過ぎには無くなってしまう勢いでした。

「餃子についてたぽん酢のタレって、今日買えますか?」

餃子をご購入いただいた10人以上のお客様からお声がけを頂き、これはイケる!と。

その半年後に開催された2日間の横浜のイベントで、簡易ラベルを貼り付けた試作品を82個用意し、餃子だけでなく、その場で美味しかったら購入できるように準備、見事に完売する事ができました。

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味、規格も全て決まり、ここから加工場で生産できるよう、工場長や品管担当者と打ち合わせ
当初は、こだわりすぎて「えー?こんなことするん?」と言われ、加工場で作るのは難儀しました。こだわりだけは捨てたくなかったので、現場の人たちと何度も議論をして、作業効率などを見直し、やっと完成しました。

みんなの協力あってこそのこの商品。絶対お客さんに美味しいと言ってもらいたいという想いだけで突き進んだ感じです。

商品名の「噂のどろぽん」は、「どろ」っとした「ぽん」酢がおいしいと「」になっていた事から。
社内でネーミング募集をした時に出てきた名前で、商品開発のきっかけになった背景をうまく表現できていると、満場一致で決まりました。

中身をこだわって作ったから、見た目のデザインも工夫したいとこだわりぬきました
今は食べたら分かる!と思ってます。これまで色々じゃばらの商品に携わってきましたが、個人的には一番うまいと思います。時間も過去ダントツで時間をかけた商品。

まずは食べて欲しいです!

最近は通販サイトにレビューが付いていないか、毎日チェックしてます(笑)

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2024年10月「噂のどろぽん」新発売。
どういった商品なのか、お客様に受け入れて頂けるか、不安もありましたが出荷開始から約1ヶ月。おかげさまで順調な滑り出しで、なんと海外への輸出も決定!

こだわりすぎて大量生産には向かない商品ですが、逆に気持ちを込めて作っています。ぜひお買い求めいただけると嬉しいです。

≪噂のどろぽんの詳細はこちら≫

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じゃばら

へんなみかんが
1本
だけありました。
その名は「じゃばら」。

和歌山県の小さな山村「北山村」に、柚子でもない、スダチでもない、とんでもない、へんなみかんが1本だけありました。その名は「じゃばら」。鬼も逃げ出す酸っぱさからか、はたまた松のような不思議な香りがするからか、それは定かではありませんが「邪気を払う」、そんな意味でこう呼ばれていました。たった1本の木から、過疎化の救世主として大事に、大事に育てられ、今ではその数なんと7,000本!じゃばらは、さまざまな加工品となり、山奥の村から皆様のもとへお届けさせていただいています。